2008年12月26日金曜日

『アイデアのちから』を読む

 何故、この書『アイデアのちから』(日経BP社)を購入したのか?「全米150万部のベストセラー、遂に翻訳刊行。解説勝間和代」の帯の文句である。未だ、経済破綻したアメリカ信仰に私も毒されているようである。それと勝間和代がどうも気になるのである。次第に精神論的著述を刊行する勝間和代に危うさを感じているのからである。
 ザ・シークレットや夢などの文字が矢鱈と書店の棚を賑わしている。古の日本を讃美する御仁も増えた。浪漫主義的傾向が表出し国家主義が台頭する。社会主義的政策が評価される。まさしくファシズムの足音が聞こえてくるようである。全体主義は最初からその本性を現さないのである。ヒトラーもしかりである。民主主義を標ぼうしながら、強行採決を行う民主党。その本質は全体主義、ファシズムなのかと失望してしまった。
 それはともかく、本書は面白い。アイデアを分析しそこには、SUCCESの6つの法則があると指摘する。その分析力が凄いというよりは、そのアイデアの例示が興味深いのである。サウスウェスト航空やソニーの例はかなり人口に膾炙されてはいる。またサブウェイのダイエット効果についてはどこかで聞いたことがある。だが、それらの例は確かに発想の転換を齎すインパクトがある。本書に散りばめられたユーモアにアメリカ的なあまりにもアメリカ的な発想があるのは事実である。

2008年12月24日水曜日

佐山展生編『社長の器』を読む

 本書『社長の器』(日本経済新聞出版社)はM&Aの旗手として知られる企業家にして一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授佐山展生の編著である。内容は、彼の講義に登場した企業家たちの講演を構成したものである。講座の性向からして企業再生、M&Aに特化しているのは仕方がないことである。ただ、成功事例に多くが語られ、蹉跌の事例を深く掘り下げていないのが残念である。これは、演者がそうしているのか、編集なのかは知る由もない。
 例えば、藤巻幸夫氏の場合。伊勢丹での成功はよく知悉しているがイトーヨーカドーではそれほど評価されてはいない。というより負の評価である。また、澤田貴司氏や同社(リヴァンプ)の玉塚氏がユニクロを抜けてからの爆発的成長はなにを物語るのであろうか?
 そのあたりを読者は聞きたいのではなかろうか?失敗事例にこそ学ぶべきと思う今日この頃の経済情勢である。