2009年1月13日火曜日

副島隆彦×佐藤優『暴走する国家 恐慌化する世界』を読む

 本書『暴走する国家 恐慌化する世界』(日本文芸社刊)は、評論家である副島隆彦と「外務省のラスプーチン」と呼ばれた佐藤優の対談本である。逮捕後、佐藤優の執筆活動は凄まじい。その内容の深さは驚愕に値する。哲学、文学、宗教、経済そして勿論のことながら外交。僕の彼に対する負のイメージは大きく変わった。そして、彼が人格者であるとの認識はより深くなったのである。
 それに対して、副島隆彦。佐藤優がその直観力を高く評価し「預言者」とまで持ち上げる人物である。ところが、本書を読み進めるうちに副島隆彦の情報にかなりの先入観が影を落としていることを看取できるのである。「はじめに結論ありき」である。マスメディアにありがちな牽強付会と強引さがある。そこが、佐藤優氏との大きな相違である。彼はインテリジェンスに携わってきただけあって客観性と分析力はすばらしい。それに対し、副島は演繹的とでも言おうか。論理的な方法がこの二人は正反対だと思えた書である。

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