2009年1月29日木曜日

長田貴仁著『増補新版パナソニックウェイ』を読む

 本書『パナソニックウェイ』(プレジデント社刊)は神戸大学大学院准教授長田貴仁による長年のフィールドワークによって構成された好著である。確かに、著者が後述するように「学術書の割には、読み易かったですね。」というパナソニックの部長が評価する如く、経済誌を読むような気楽さがある。当然、彼が経済誌の記者であったことが大きく影響しているのには違いない。インタビューも多く、かなりの臨場感がある。
 例えば、大坪社長の次のような回答。「松下電器の裏の競争力は何ですか?」という質問に対して。「5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)が職場で基本的価値観としてしっかり認識されていることが重要です。これは、工場であろうが、間接部門であろうが同じだと思います。」机上の空論ではなく現場をよく知悉した発言である。人間の姿勢はすべて行動に表出するのである。自らの反省として心に刻み込まねばと思う。
 ただ、本書の欠点が一つ。著者がパナソニックに対して「ブランドの統一とそのブランドを社名にすべきだ。」と提案したのが自分の成果であると自画自賛するところがまさしく学者らしくない。嫌な部分の記者精神というか、コンサルタント根性なのかと思ってしまう。

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