2009年1月26日月曜日

西成活裕著『無駄学』を読む

 本書『無駄学』(新潮選書)は西成活裕東京大学准教授の二冊目の著書である。一冊目は『渋滞学』(新潮選書)。彼の専門領域である。渋滞のメカニズムを説いたこの処女作は以前かなり興味深く読んだ。渋滞学という呼称は西成が創発したものであるが、無駄学の呼称も同様とのこと。「ムダ取り」で知られるコンサルタント山田日登志との出会いから無駄学という学問は始まったという。山田はトヨタ式経営手法である「ムダ取り」を、多くの企業で指導しその評価はかなり高い。メディアでも多く取り上げられ、そのスピード感と強烈な個性は印象的でもある。西成は山田との同行を通じ、山田の手法に西成の「渋滞学」が適応できると考えたようである。どちらかというと、山田の手法は暗黙知に近い部分が多いようである。その暗黙知を知として形式化しようとするのが西成の「無駄学」と言えよう。著者も言うようにその目的の達成は道半ばであろうが面白い試みであることは論をまたない。

0 件のコメント:

コメントを投稿