本書『「日本の経営」を創る』(日本経済新聞社出版社刊)は、経営学者である伊丹敬之東京理科大学教授とミスミ会長の三枝匡氏との対談集である。二人の共通点は一橋大学出身。アメリカのMBA出身。そしてベストセラーの著者である。その二人がそれぞれの経験から「日本の経営」とはどうあるべきかを語るストーリーとなっている。
経営学の歴史は浅い。そのためか、景気や社会動向の変化でその見解は大きく揺らぐ。アメリカが好景気のときはアメリカ型経営を絶賛する。かたや、日本の景気が上昇すれば日本型経営が称賛されると言った類である。アベグレンなどはその顕著な例である。最初に『日本の経営』を著した時はアメリカの好況時である。日本的経営の三種の神器が非効率の象徴のように記述していた。ところが、反転。日本の景気が上昇するや、版を変え、三種の神器は称賛される。それから、バブルの崩壊や失われた十年いや十五年の間は沈黙。その後、日本の景気が上向くや『新日本の経営』の出版となった。
どんな経営手法がベターなの?われわれ素人はリエンジニアリングや成果主義。イノベーションやバランススコアカード。やたらと多い横文字に辟易してきたのである。そこに、視点の揺るがない伊丹敬之教授が新しい「日本の経営」を創るというタイトルでそんな経営学を撃つというのである。期待感での読書。ただ、三枝氏の「創る、作る、売る」小単位での組織が余り僕には理解できない。これが、新しい「日本の経営」となりうるのであろうか。社内の活性化は首肯できるものの、その経営手法は少しクエスチョンというところである。
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